盲腸体験記2日目その3(手術編!)
何時から手術が始まるのかよく分からないままベッドの上で待機。手術に備えて、借りた病衣を後ろ前に着る。
看護師さんいわく「うち、手術用の服がないの。」おむつも装着。点滴も開始。
あと、しばらく同じ姿勢でいることになるので、エコノミー症候群の予防のために、ぴったりとしたタイツを履いた。ANSILKという弾性ストッキング。
(特殊な編み方のストッキングで、足の血流を正常にたもつ働きがあります。日本人にあわせたサイズ設計になっているので、むくみ対策として使用している看護師さんも多いとか。手術や麻酔でじっとしていると、血液が固まって血栓ができることがあり、その血栓が心臓へ行くと死亡する可能性もあります。そうならないように弾性ストッキングを履かされたわけです。写真に写ってる黒いネット状のものを先に足にはめてからじゃないと、きつくて履けません。ストッキングの先は穴が開いてるので、そこから黒いネットを引っ張り出す仕組みになっています。)
このあたりで筋肉注射的な麻酔を肩に打たれる人もいるみたいだけど、僕は打たれなかった。そして、ちょっとドキドキしていた剃毛はありませんでした。(最近は剃毛しない病院が増えているとか。)
「行くよ。」と声をかけられ、ストレッチャーに乗せられて2階へ。綺麗な若い看護師さんと、ベテランの看護婦長っぽい雰囲気の、これまた美人の看護師さんに受け渡され、手術室へ。
けっこう痛い腰椎麻酔
手術室の中ではバンプオブチキンの曲がかかっていたけれど、知らない曲だった。
「手術室初めてです。」なんて軽口をたたけたのも最初だけ。手術台に移されてからか、それともストレッチャーの上だったか記憶があいまいだけれど、まずは腰椎麻酔。そういえば体重を口答で確認された。
右を向いて、ひざをかかえてまるくなる。背中をまるめて背骨を尖らせる感じ。腰椎麻酔はとても太い注射なので、打つ場所に、まずは皮膚を麻酔する注射。そのあと骨髄に太い注射。痛いですよと聞いていた。そして痛かった。何回かぐりぐりして、うまくいったらしい。
すぐに足がポカポカして、ピリピリしてきた。麻痺するのは下半身だけで、意識のあるままの手術。布で隠されたので下は見えない。
「これ痛いですか?」カチカチ。「ん、ちょっと痛いです。」「そうとう痛いことしてるんですよ。これはどうですか?」カチカチ。なんてことを3、4回しているうちに、痛くなくなった。
いよいよ手術開始
麻酔って、全然何も感じないのかと思っていたけれど、そんなことはなくけっこう触られている感じは分かるし、なんならちょっと痛い。
もちろん耐えられる痛さ。麻酔がなければ、とっくに痛くて泣いているだろう。
院長先生ともう一人の先生が執刀。おなかを開けると、「なんだこりゃ!」
「何も見えねーじゃねーか!」というようなことを言った。どうやら癒着がひどいらしい。
「前に腹膜炎とかした?」
「いえ…」
「これまでもよくお腹痛くなってたんじゃないの?」
「はい…」
「ちくしょう… なんだこりゃ… これでどうだ!」
そんな感嘆詞を発しながら、手術は進みました。
「男だしいいか。」と言っていたので、多分癒着がひどくて何も見えないので、メスを入れる範囲を広げたようでした。
「俺がここまでで25分もかかるとは…」
それがどこまでかは分からなかったけれど、確かにこの先生なら10分もあれば普通は盲腸の手術は終わりそうな感じはしました。
麻酔がだんだんと下半身だけでなく、上にあがってくるように感じた。呼吸も少しずつしにくくなってる気もするし、なにより寒かった。
「寒いです。」と言うと、美人な看護師さんがゆたんぽを首に当ててくれた。
ちょっと幸せ。
お腹は、痛いというより辛かった。早く終わって欲しかったけれど、癒着のせいでそうもいかないらしい。でも、ツラいのは今だけ。時間が経てば楽になることを知っていたので、とにかく耐えた。
自分自身の出来事では、これまでの30年の人生の中で一番怖かった時間だと思う。
「よし!」と、とった盲腸(正確には虫垂ね)を見せてくれた。10cmくらいの、まあまあ太いミミズ。それにぽつぽつと肉片がくっついている感じで、意外とかわいいやつだった。
「これまでも、お腹が痛いことはあったと思います。あれだけの癒着だから、これからそれが全部なくなるとは思わない。だけど、もとは取っちゃったから。」と先生。
どうやら僕がよくお腹を壊していたのは、このミミズのせいでもあったようです。
とにかく終わってくれた。そのことにホッとしていました。手術時間は35分くらいだったと思います。(18:00)
406号室へ戻り、自分のベッドに移してもらう。下半身が当然動かないのでしびんを用意してくれた。自分の足を触ると、なんか丸太ん棒みたい。ミイラ男の足みたい。
手術の跡には、絆創膏がぺたりと貼られています。
足の指先は、少しだけ動く。それから、夜の21時の消灯の時に、痛み止めの座薬を入れてもらって、久しぶりに眠りにつきました。
関連性の高い記事はありません。
スポンサードリンク
Add a comment